悠冴紀2016年9月23日詩『曼珠沙華』作:悠冴紀 赤い大地 血のような 炎のような 曼珠沙華が咲き誇る 鮮やかな赤 毒々しくも繊細で 雨ざらしの野に 凛と伸びる 曼珠沙華が萌える 混沌の記憶の中に 血のような 炎のような 一面の赤 ―― 無彩色の季節を越え 今 再び 懐かしいような 初対面のような...
悠冴紀2016年7月25日ヒグラシ幻想曲Image by Saeki Haruka . さざめく草木にいざなわれ ヒグラシが奏でる不思議なメロディー 聖徳太子も聴いていた 夏の夜の幻想曲 暗闇に天井が溶けだし 満天の星空が視界に開ける モノトーンの部屋から コバルトブルーの宇宙へ ...
悠冴紀2016年5月1日戦士の骸極端すぎた改革 反乱の渦 人々はある日突然戦士になる 求める神の食い違い バラバラに砕け散った世界 脱落していく同志たち 我が手が殺めた敵兵たち 巻き添えを食らった民たち 辺り一面 死ばかり 戦火を浴びて破壊を繰り返し 戦う目的さえ忘れて血に飢える...
悠冴紀2016年4月13日RAIN雨を受ける 雨傘をたたんで 両手を広げ グレーの空を仰いでいる 腕に 髪に 頬に 雨粒が弾ける 地球と共に雨を感じる 自然の恵みに潤っていく 両手をかざして舞っている 心地よい激しさで 打ち付けては流れゆく雨水に目を細め 全身で雨を受け容れる ...
悠冴紀2016年3月18日くらげ何も無い 涙が止まった 要らない感情が尽きたらしい ただ生きている 宇宙の底で 揺らめいている クラゲみたいに すべて終わった ああしよう こうしよう という意志さえ 今はもう見当たらない ああなるまい こうなるまい と突っ撥ねていたことさえ ...