悠冴紀2016年2月29日コトバの芸術シーザー…… 歌を歌って聴かせる最後の相手を失って 私は歌声を喪失した 今は、代わりに私のコトバが歌う 私の混沌が生み出したコトバたちは 二次元の紙の上から踊り出し 思い思いの旋律を奏で 創造主である私さえ置き去りに ...
悠冴紀2016年2月25日カナダの冬深まっていく大空に カナダの姿を重ね見る ナイアガラ・オン・ザ・レイクの 白い小さな教会 ボウ川の水面 牧草地を流れる風 一人旅に出かけたい カナダの冬は どんなだろう バンフの町に積もる雪 ロブソン通りに灯る明かり コートの襟を立て ...
悠冴紀2016年2月23日JANUS許せないのに 想っている 恨みながら 感謝している 突き放しながら 案じている 男でも女でもない架空の生き物のような 恋心も持たない乾いた人間だった私には 君との繋がりが 神聖だった あまりにも 私の人格は二つに分裂してしまった 君が私を引き裂いた 信じていないのに 受け入
悠冴紀2015年8月27日蝶 私は羽ばたく者 変化を拒まず受け容れる者 飛び出す勇気を持てない君の分まで 高く舞おうと 大きく羽を広げ 出し得る力を 出し尽くす ほかならぬ君がそう求めた 私はいつも 君の生の代役だった 私は共に飛びたかったのに ジレンマが二人を裂き とうとう私は飛びたった 二人分の重み
悠冴紀2015年8月24日蛹 君は蛹 君は自分自身から逃げ去る者 そして蛹は眠るもの 君の努力は繭(まゆ)の中 いつも行動を伴わない 他との交わりのない小さな殻の中で ただ独り 考えるだけ 関係はいつも一方通行 主体性ある行動を評価されるのが怖くて 空気さえ動かすまいと 受け身の姿勢で固まっている 誰かが