悠冴紀2023年2月18日詩『吐息に咲く白い花』大気をいたわりながらゆっくりと 誰かと歩んだ幼い日のように息をしてみて 見えるかい? そこに広がりゆく花の 眩い白さ 雪よりも白い 柔らかな花びらを バラのごとくにしっとりと広げ 光散りばめながら 冬の静けさに霧散していく 永遠に似た一瞬の開花……
悠冴紀2020年4月18日詩『傍観者』作:悠冴紀 木々がざわめき 雲が不安定に闇夜を漂う 試されているのは 君か? 私か? この闘いに 敵はいない 明確な目標になるような 人間の敵は 実体のない幽霊を相手にしているかのよう ある日突然襲い掛かり 姿も見せずに蝕んでいく 数えて何度目の試練だろう...
悠冴紀2020年3月29日詩 『鬼~母なる地球の連環計』人類の繁栄と 夢の果て 止め処ない人口爆発とグローバル化 広がるところまで広がれば いずれ自壊して収縮の時を迎える 目に見えていたはずのこと これはいわゆる揺り戻しだ よもやこんな形でとは知り得なかったが 予感と覚悟は常にあった これ以上はないところまで伸びきった末...
悠冴紀2019年6月8日詩『鮫々のように』暗く 冷たい 水の中で 独り静かに佇んでいたい 冷ややかな眼差しを持つ あの鮫々のように 笑うことなく 馴れ合うことなく 誰も寄り付かないほどの深みに溺れて…… 差し伸べる手など 必要ない 人々が救いと信じるものが 私には死だ 現に私は 日に日に崩れ 朽ち果てて...
悠冴紀2018年10月5日詩『PHOENIX』君は不死鳥になった 私の中で 永遠に消えない 君がお別れを言いに来たとき あの場に私がいなかったのは このためかもしれないと 今は思う 君の命に翼が生えて 空高く飛び立つのを見た気がする 君を愛した者たちの涙をあわせ 空が水の翼を編み上げた 君は不死鳥 濁りを知らない柔ら