悠冴紀2014年10月21日「屍」かつて私は 曲がりくねった獣道を行き 摩擦と衝突を繰り返していた そこでは多くが生み出され 破壊され また多くの新しいものが誕生した 活火山に囲まれた荒海のように わかっていた 本当は 今の私は偽者だ 真に生きていたのは 記憶に遠いあの時分だけ 今以上の不真実の数々に囚われな
悠冴紀2014年9月1日あなたの中のモンスター第二のナチスはどこにいる 名前を違えてそこここに テロリスト予備軍はどこにいる 隣の家に あなたの中に 失敗続きの人生を 個人単位の絶望のすべてを 社会や他人のせいにして楽になろうとする弱さ 内側の怪物を認めたくないために 外側にいる誰かを攻撃する ...
悠冴紀2014年6月9日涙 泣いている 毎日毎日 泣いている 扉の向こうにすべての人間を閉め出して 一人という安全に身を置くと 私は毎日欠かさず 泣いている 涙は余計な感情を洗い流す道具 考えることにさえ疲れてしまったから ただひたすら涙を流す 他人に何かを求めることが ...
悠冴紀2014年2月7日敗北者認めるよ 私は敗北者 自分を哀れむことだけは 絶対すまいと思っていたのに 諦めることだけは 絶対すまいと決めていたのに 誇りを守ろうと構えていた 人生を守ろうと闘っていた 無駄な努力だった 何もかも 私は敗北者 だけど怖いものは何もない ...
悠冴紀2014年2月5日悪 夢昨日悪夢を見た これまで味わったこともない恐怖の味 そこには親友がいない 私には〝今〟しかなかったのに 親友が〝今〟のすべてだったのに <過去>の亡骸 <未来>の虚無 私には<今>しかなかったのに 親友がいるから生き延びてきたのに ...