悠冴紀2018年4月2日詩『γρύψ(グリュプス)』ありがとう さようなら 今おもむろに この大地を離れ いつかのように羽ばたいていくから どうか皆 私を手放して あの懐かしい アッシュブルーの空 何者をも囲わない 私なりの故郷へ 記憶とともに 解き放って―― 誰かを受け入れる腕ばかりが成長し いつの間にか 翼が退化してしま
悠冴紀2017年12月15日詩『氷の道標』蒼白い雪を被った鋭い針葉樹林を 私は手探りで駆けていく どこから来たのか どこに向かっていたのか 時折わからなくなる自分がいる 今はそれでも 走るほかない 凍てついた樹海の奥から 狼の遠吠えが聞こえてくる あれは血に飢えた冬の捕食者 かつての私に 似た奴らだ 目印もない