●「根本教義──苦悩を勝利に、毒を養分に直すことは、 我々の力の為し得るところである。 苦悩への意志」
(遺稿より)
●「大いなる苦痛にしてはじめて精神の最後の解放者となる。 大いなる苦痛、我々をいわば生木で火あぶりにするような、 永いあいだのおもむろな苦痛にしてはじめて、 我々哲学者を強制して 我々の究極の深みにまで降りて行かせるのである。 このような苦痛が《改善する》ものかどうかをわたしは疑う。 しかしわたしは知っている。 それが我々を《深める》ことを」
(『楽しい学問』より)
●「最も深く悩む者は 最も深く美を欲求する。 ──彼はそれを生み出す」
(覚え書より)
●「殆どすべての状態と生き方が 一つの至福な瞬間を持っている。 良い芸術家たちは そういう瞬間を釣り上げるすべを心得ている」
(『人間的、あまりに人間的』より)
●「気付いた者があるか、音楽は精神を自由にするということに? 思想に翼を与えるということに? 人は音楽家になればなるほど、 ますます哲学者になるということに?」
(『ヴァーグナーの場合』より)
●「到達された自由のしるしは何か? ――自己自身に対して恥じないこと」
(『覚え書き』より)
●「深く考える人間は、他人との交際において 自分が喜劇俳優であるかのような気がする。 彼等はそこでは、 理解されるためには常にまず表面を偽らざるを得ないからである」
(『人間的、あまりに人間的』より)
●「あらゆる深い精神は仮面を必要とする。 むしろ、あらゆる深い精神の周りには、たえず仮面が生ずる。 彼の与えるあらゆる言葉、あらゆる歩み、あらゆる気息の 常に間違った解釈、つまり浅薄な解釈のおかげで」
(『善悪の彼岸』より)
●「自分について多くを語ることは 自己を隠す一つの手段でもありうる」
(『善悪の彼岸』より)
――フリードリッヒ・ニーチェ