カバーデザインの工程~クルイロ篇
- 悠冴紀
- 2016年5月1日
- 読了時間: 6分



Hi! 皆さま。本日はタイトル通り、My作品📕のカバーデザインについてのお話です。
本づくりには色々な工程があります。大まかに言うと、①一人でまずは好き放題に自分シュミな物語を書く(自己満執筆:笑)⇒②編集者のチェックで赤ペン修正(校正・編集)⇒③カバーデザインや帯文の文言、メディア掲載についての打ち合わせ・・・・・・といった流れになるわけですが、中でも一番肩の力を抜いて楽しめるのが、実は③のカバーデザインの段階だったりします♪ 自分が作り上げてきた物語の世界観を凝縮して、一目で雰囲気が伝わるようビジュアル化するという総まとめ的な仕上げの作業。原稿用紙ン百枚もの言葉で表現してきたものを、たった一枚の限られたスペースに色や形で表現するというのも、それはそれで大変な作業なのですが、著作者としては、すでに原稿の手直しを一通り終えたあとの達成感に浸りながら装丁を考えるのは、素直に楽しく大いに挑戦し甲斐のある作業とも言えます。 本のプロフィールにもあるように、私は元々(小中学生時代の話ですが)漫画を描いていたのが小説ライフの原点になったというくらいなので、視覚効果を考えてモノづくりをすること自体、趣味のうち♪ もちろん、出版社を通して公に本を発表するからには、芸大出身でもなければデザイン系の専門学校に通っていたわけでもない私の素人画像をそのまま載せるわけにはいかず、担当者として必ずプロのデザイナーさんがつくんですけどね A^_^;) 今回はそんなデザイナーさんとの二人三脚で仕上げるカバーデザインの裏話を、処女作クルイロの例で暴露しちゃいます!(※PHASEの装丁の話はまた今度、ってなことで (^_-)-☆) まずは下の画像をご覧ください▼


これはグラフィック機材株式会社というところが製品化している3Dアートのクリスタルガラスです。
出版社によっては、著作者の希望を全く聞いてくれないまま勝手にデザイン作成してしまうところもあるようですが、文芸社は必ずこちらの意見や要望に耳を傾けるところからスタートしてくれるので、私はここぞとばかりに、「これらの参考画像に近い雰囲気・質感のカバーデザインを作成してください!」と、色んな画像を送って自分なりのデザインを提案しました。クルイロのイメージにあっていると思われる画像を。 そのうちの一つが左上👆の『溶けるサッカーボール』でした。 私が送った画像は20枚近くあり、ロシアの国章である双頭の鷲の画像や、ファベルジェのイースターエッグの画像など、他にも色々送りました。クルイロはサッカー少年の話でありながら、スポ根系の物語ではなく、むしろ芸術心理学としての掘り下げに重点をおいた物語なので、芸術繋がりということで、イースターエッグの画像を特に多く送った憶えがあります。小さな卵の中に繊細複雑な「もう一つの世界」が広がっている感じが、クルイロの世界観を伝える上でちょうどいいかな、と思ったもので☆ そこで お次は、下の2枚の画像▼をご覧ください。


これらの汚い絵は、言うまでもなく私の落書きです(笑) まずは左の一枚。イースターエッグ風の卵型オブジェの中に、モスクワの街並みが蜃気楼のように浮かび上がり、その上には、王冠のごとくサッカーボールを頭に掲げた双頭の鷲の像が載っている、というイラストです。 そしてその画像をテキトーに切り取って、表紙のレイアウトを考えてみたのが右↑の画像。氷かガラスのような清涼感・透明感のあるカバーにして欲しい、と思っていたので、はじめはペールグレーの背景でシンプルに決めるつもりでした。「エッグの台座やタイトル等のディテールは、ブルー系がグリーン系でアンティーク調にしてください」とか、「私はあくまでレイアウトや頭の中のイメージを伝えるため絵で表現していますが、実際の装丁はこのような漫画っぽい仕上がりではなく、写真か何かを使ってリアルな質感にしてください」……等々、うるさく注文を付けていた憶えがあります。さながらイースターエッグの特注品をオーダーするかのように・・・A^_^;) 他には、以下のような案もありました▼



さっきのと似たような構図ですが、左↖は、ネット上で拾ってきたエッグ画像を、これまたテキトーに切り取って双頭の鷲の画像と合成したものです。とりあえず雰囲気さえ伝わればいいと思っていたので、画像処理は本っ当に適当でモロモロになってしまっていますが(汗) 最後に右上↗のデザイン案ですが、先に紹介した『溶けるサッカーボール』と同じグラフィック機材株式会社のクリスタルガラスを、三つ並べてみたバージョンです。この中身の鷲を、My作品のキーワードの一つである双頭の鷲に変えることができれば、それらしく仕上がるんじゃないかなと・・・・・・。 ちなみに、この時点でようやく、「中心画像をクリスタル風の透明感のあるものにするなら、背景を黒かダークグリーン、ダークブルーなどの濃いものにした方がいいのでは・・・?」と思いつきました。その方が深みが出てどっしりとした仕上がりになり、私の作風にピタリとハマるかもしれない、と。 結局、背景全体をアイシーなペールグレー系にするかダークカラーで決めるかは、自分では選びきれなかったので、最後はプロのデザイナーさんのセンスと判断にお任せすることにしましたが。 「今回送った画像はすべて、あくまで私の思い描いているイメージを伝えるための参考資料であって、決して、これらのうちどれかをそのままカバーデザインとして使ってください、というのではありません。連想ゲームのような感覚でこれらを踏まえた上で、物語において象徴的な役目を果たしている“サッカーボール”と“双頭の鷲”をキーワードに盛り込み、どうにかそれらしく仕上げてください。氷かガラスのような質感を感じられ、それでいてイースターエッグのように何かを内包している感じの、芸術性の漂うデザインがいいです。色味は全体に寒色で、ペールグレーかディープ・ブルーか、↖左上のエッグの台座のようなグリーンにしてください。あとのディテールはお任せします」 ってな具合で。 ── こうして出来上がったのが、このクルイロ・デザインというわけです▼

思っていた以上にMy作品の内容をとらえた、奥行きのある仕上がりにしていただいて、大満足でした♪
文芸社はいいデザイナーさんがいるなぁ、と思ったものです。 対する私はというと、「注文の多い小うるさい著作者がいるもんだなぁw」と
内心呆れられてしまった可能性大ですが……(滝汗)A^_^; ちなみに、このクルイロのときには2通りのデザインを作成していただき、うち一方、気に入った方で刊行しましょう、とのことだったので、この場で皆さまに、初公開のもう一つのデザインもご覧いただいて、本日記の締めくくりといたしませう(^^♪ 本採用となった上のデザイン👆があまりにしっくりとハマり、私自身も編集担当者もいたく気に入ってしまったため、結果的にはボツ案ということになってしまったけれど、これはこれでなかなかの出来で、できることならまたの機会に使用させてもらいたい、と思うほど私好みのデザインだったので、誰の目にも触れずに終わるのは勿体ない!!
── ということで、どうぞ▼ 皆さんはどちらが好みに合うかな? 👀
