数年前まで 南の国に憧れていた どこかの無人島で 潮の香りに包まれて 一人日暮れを眺めたかった 今は北へ向かっている なぜなんだろう 北へ 北へ 魅かれていく なぜなんだろう 快感だった暑い日差しが 今は苦痛 苦痛だった冷たい風が 今は快感 元居た場所からは大勢が去り 迫害者たちが待ち構えている 居場所にしたかった街は 大地に揺られて変わり果てた 今は 行き場だけを求めている すべてに理由が必要だろうか 北へ 北へ 魅かれていく 帰る場所も居場所もなく 行き場だけを求めている なぜなんだろう 私にも分からない 北へ 北へ──
※これは私が大学生の頃(1998年頃)に書いた詩です。 作中の『元居た場所』というのが、私の生まれ育った故郷(兵庫内陸部の田舎町)のことを指すなら、『居場所にしたかった街』というのは一体どこを指すのか ──? それは、当時の私にとっては良い思い出ばかりが詰まっていた馴染み深い街、神戸のことです。 なので、『大地に揺られて変わり果てた』という一文は勿論、阪神淡路大震災のことを指しています。 私は震災以前、ずっと「将来は神戸に移り住みたい」と思っていたのですが、震災で様変わりしてからは、どこか別の街のように思えて、何年もの間 足が遠のいてしまっていました。今でこそ何事もなかったかのように元の装いを取り戻しましたが、震災直後は本当にショックで直視しづらかったのを憶えています(T_T) 注)私の作品を一部でも引用・転載する場合は、必ず『悠冴紀作』と明記してください。 自分の作品であるかのように公開するのは、著作権の侵害に当たりますm(_ _)m
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